『ピクセルアウト』

『ピクセルアウト』2016.02.25–03.08

-2016.02.24 販売物情報を公開しました

展示概要

イラストレーター/アートディレクターのたかくらかずきがディレクションする企画展です。様々な手法でピクセルを意欲的に用いて作品を制作している14名の作家を集めて展示を構成することで、ドット絵の概念をノスタルジーから引き離し、ピクセルという単位から画面/デジタルメディアについて再考することを目的としています。

ステイトメント

日本ではおもにレトロゲームの印象が強く、ノスタルジーとともに語られがちなドット絵。海外では、ピクセルアートという呼び名で親しまれています。コンピューターが生まれデジタル画像がモニターに映し出された瞬間、ピクセルという概念はこの世に生まれました。しかしながら、このピクセルという概念はノスタルジーとともに語られる過去の遺物ではありません。現代でもなお、あらゆる画面の向こうには常にピクセルが存在しています。わたしたちが毎日向かい合っている PC やスマートフォン。そこに映る画像たちは、他でもないピクセルで表示されています。ピクセルはコンピューター世界の最小単位であり、画面の向こうの光を支配する、RGBの色情報を持った光る四角形です。

画面の外側、つまりわたしたちが生きている世界では、粒子は四角形ではありません。そのため、きれいに整列させ積み重ねることができません。そんな現実世界の粒子との差が、ピクセルを特別な単位として立ち上がらせます。現実では決して存在することができず、実存をともなわない光の単位。これは人間の脳内だけに存在する単位とも言えるでしょう。静止画や動画と呼ばれるものたちは、この「光の窓」の向こう側でピクセルによってコントロールされ、再現されています。まるでこの現実世界の物質が全て粒子で構成されているように。

絨毯などの織物やタイル画など、古くから人々は図案を「設計」するときに、小さな四角形を繰り返すことでビジュアルを構築してきた歴史があります。そしてその方法論が、コンピューター上での二進数による画像処理に引用され、ピクセルの概念が生まれたといえるでしょう。テクノロジーの発展とともにデジタルメディアが私たちの生活に浸透した2000 年代に入ると、インターネットの発達とともにピクセルによる「画面」は「空間」として意識され始めました。そして 2010 年代、スマホや SNS の登場によって「画面」は拡張された「身体」としての機能をも伴い始めました。

そんな「画面」の最小単位を操るドット絵 / ピクセルアートというジャンルをキーにして、様々な手法でピクセルを意欲的に用いて作品を制作している作家を集めて展示すること。それはドット絵の概念をノスタルジーから引き離し、「画面」の内側についてもう一度探索する機会になるのではないかと思っています。各作家は「画面」の向こうにしか存在しない光の単位を、どのように定着させているのか。もしくはどうやって無理やり「画面」の外にひきずりだしているのか。そして、どう崇拝したのか。ピクセルアートは今考えられているよりもずっと根源的で、デジタルメディアに寄り添っている限りその特別な単位としての可能性は拡張されていくはずです。

たかくらかずき


イベント情報①

「ピクセルアウト」レセプション・パーティー
「ピクセルアウト」開催を記念して、初日2月25日(木)18:00からレセプション・パーティを行ないます。
会場では、飲み物とお菓子をご用意しております。
どなたでもご参加いただけますので、みなさまお誘いあわせの上お越しください。
日程:2016年2月25日(木)18:00 〜 20:00
会場:pixiv Zingaro
参加費:無料

イベント情報②

ピクセルアウト×TORIENA「ENTER BIT」
ピクセルアウトとチップチューンアーティストTORIENAの共同企画
詳細は以下webにて告知致します。
http://2-5-d.jp
日程:2月21日18:00-
場所:渋谷PARCO 2.5d & USTREAM
「Nano Defender」1-9

– Gavin Reed
– 各27,000円(税込)

イベント情報③

「ピクセルアウト」開催を記念してトークショーを開催します。
中ザワヒデキ×都築潤×たかくらかずき 「ピクセルとデジタル絵のいままで」
日程: 3月5日(土) 17:00-18:00
場所:pixiv Zingaro
入場無料

gnck×HouxoQue×たかくらかずき 「この先のピクセル、画面が光る神性」
日程: 3月5日(土) 19:00-20:00
場所:pixiv Zingaro
入場無料

参加作家一覧

m7kenji

m7kenji

http://m7kenji.com

携帯待受サイトの開設をきっかけに多数のグラフィックやFlash作品を製作。チップチューンシーンではイベントのアートワークやピクセルベースのVJを行う他、スマートフォン向けに「ロクジョーヒトマ」「Ringo」「BUGTRONICA」etcのアプリケーションを制作。近作として楽々モノクロドット絵エディタ「PixelTweet」、TORIENA「KANDI PIXELZ」ミュージックビデオなど。
グラフィック〜映像〜アプリ等表現の種類を問わず活動中。


奥田栄希

奥田栄希

http://eiki.o-oku.jp

古いテレビゲームを題材に映像や、平面表現などを試みてきた奥田は、市販のゲーム機で動作するインタラクティブなゲーム作品の制作を行っている。その過程はゲームプログラムを作成し、基盤にハンダ付け、ひとつのカセットにパッケージするところまで全て手作業で行われる。昨年、ゲーム本来のゲーム性を排除し、生と死や、無限を想起させるゲーム作品を展示した個展「悲しいゲーム」を開催し、インターネット上で大きな注目を集めた。2008年群馬青年ビエンナーレ2008 奨励賞受賞。2011年 東京芸術大学美術研究科絵画-油画専攻修了。主な展覧会に2014年に展覧会「RESET」 Takashi Somemiya Galleryほか、多数の展覧会に参加。


Gavin Reed

Gavin Reed

http://gavinreed.com

アメリカを拠点に活動するギャヴィン・リードは受賞歴のあるアーティスト/アニメーター。広告、映画、音楽、ゲーム、エンターテイメントを含む数々の産業でクリエイティブワークをプロデュースしている。最近では、ネオ・ノスタルジックなピクセルアートが彼のポートフォリオの主流となっている。また、2014年には兄弟でHey BUD Gamesを共同制作した。Hey BUD Gamesは、彼独自のユニークな美的感覚をダイナミックかつインタラクティブな媒体に適用するための架け橋ともなっている。

Award winning artist and animator, Gavin Reed has produced creative works for many industries including advertising, film, music, games, and entertainment. Recently, pixel art has found a neo-nostalgic mainstay in his portfolio. Gavin co-founded Hey BUD Games with his brother in 2014. Gavin utilizes Hey Bud Games as a segue to bring his unique aesthetic to dynamic and interactive mediums.


日下一郎

日下一郎

http://seiga.nicovideo.jp/comic/12658

ゲームクリエイター・漫画家 長年ゲーム会社にて開発に携わる。
2015年に独立後、現在は株式会社ヒューガにて活動中。
主な作品に
全編フルカラードット絵漫画「ファイナルリクエスト」(講談社)や
アプリ連携型ライトノベル「群馬県から来た少女」(PHP研究所)等


重田佑介

重田佑介

http://www.shigetayusuke.com

映像作家。主にCGを使った実験的なアニメーション作品を制作。
2009年に高解像度ディスプレイにdot by dotで極低解像度なピクセルアニメーションを上映した「Low-Vision」でピクセルを用いた作品の制作を始める。
2012年からはプロジェクターのピクセルを使い、空間的に展開するアニメーションを制作している。
第14回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品『お話の力学』
第16回文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品『がそのもり』


鈴木一太郎

鈴木一太郎(zerotaro)

http://zerotaro.tumblr.com/

現代アーティスト/彫刻家 
ドット絵彫刻作品を中心とした、デジタルイメージを立体化した作品を制作する。
研究テーマは”情報化社会における彫刻表現の追及”
現代の情報化社会において、インターネットなどの新たなメディアの登場によって我々が過ごす日常のリアリティは大きく変化した。
現実の空間で実際に身体を通じて物事に触れずとも、情報という形で様々なイメージを知覚することが出来る現代において、従来の物質的なリアリティではない、“デジタルネイティブリアリティ“の感覚による彫刻表現を模索する。
Tokyo Midtown Award 2013 グランプリ/新宿クリエイターズフェスタ2015 出展


たかくらかずき

たかくらかずき

http://www.takakurakazuki.com

イラストレーター/アートディレクター
1987年生まれ。ドット絵、イラスト作品をはじめ、グラフィックデザイン、ゲーム制作、舞台美術など、デジタルな表現手法をベースにジャンルを横断し活動している。近年の仕事に、範宙遊泳「われらの血がしょうたい」アートディレクション、PUFFYシングル「パフィピポ山」CDジャケットグラフィックなど。「ピクセルアウト」企画者。


二艘木洋行

二艘木洋行

http://unknownpop.com

1983年生まれ。お絵描き掲示板のペイントツールで描いたデジタル作品や、突然変異のようなペインティングやドローイングによって注目を集め、特異な存在感を放つ。主な展示に「プロミスフレンズニアレストネイバーランド前」TALION GALLERY(2014、東京)、「VOCA 現代美術の展望」上野の森美術館(2014、東京)、「現代絵画のいま」兵庫県立美術館(2012、兵庫)、「インターネット アート これから」Inter Communication Center(2012、東京)などがある。


Paul Robertson

Paul Robertson

http://probertson.tumblr.com/

ポール・ロバートソンは、オーストラリアのメルボルンに拠点を置くアーティストで、ピクセルアートとアニメーションを専門に行っている。2002年にRMIT大学のメディアアーツを修了。数々のショートフィルムや、Scott Pilgrim Vs the World, Adventure Time, Scribblenauts, Wizorb, Mercenary Kings, Swimなどのゲームを手掛けた。また、Simpsonsイントロのピクセル版の共同制作を手掛け、実際の番組にも使用された。
ビデオゲーム、日本のアニメ、80年代のアクション映画、神、北欧神話、ホラー映画、数学、物理、幾何学、宇宙に影響を受けている。

Paul Robertson is a Melbourne-based artist who specializes in pixel art and animation. He graduated from RMIT’s Media Arts in 2002. He has made several short films and worked on such games as Scott Pilgrim Vs the World, Adventure Time, Scribblenauts, Wizorb, Mercenary Kings and has animated on Disney’s Gravity Falls and is currently working for Adult Swim. He recently co-created a pixelated version of The Simpsons intro and had it used on an actual episode of the show.
He is inspired by video games, japanese animation, 80s action movies, gods, norse mythology, horror movies, maths, physics, geometry, and the universe.


Valenberg

Valenberg

http://www.valenberg.com

valenbergはドイツ出身のピクセルアーティスト。アニメーションやビデオ、ゲーム、コミックなど様々なフィールドで活動している。また、Tape-Magazine創立者の一員でもある。

Valenberg is a pixel artist from Germany, working in different fields, such as animation, video, games and comics. He is also one of the founders of Tape-Magazine.


マリヒコ

マリヒコ

http://marihico.tumblr.com

京都の美大、洋画コース卒。在学中はアクリル画や立体作品を制作するが卒業後、pixelartという表現の手法を知り、Twitterに作品を投稿し始める。主にドット絵でのgifとスマホのアプリをいくつも併用したグリッチgifを制作。2015年、夏のコミティアにてイベント初参加。主な制作ツールはpixen photoshop 9VAe edge


安田昂弘

安田昂弘

http://yasudatakahiro.com/

1985年生まれ、名古屋市出身。 多摩美術大学を卒業後、フリーランスを経て株式会社ドラフトにデザイナーとして入社。 グラフィックデザイン、アートディレクション、プロダクトデザイン、同社デジタルチームNOROSI Projectのチームリーダー、ムービーディレクションなど、多岐にわたるプロジェクトに参加する。その傍ら、個人としてもグラフィックデザインや映像作家、FREEDOMMUNEをはじめとする様々な大規模音楽イベントでのVJなどの活動を行い、2015年6月に同社より独立。現在はcekaiに所属し、視覚表現を軸に様々なジャンルのクリエイティブでの活動を展開している。身長は189.5cm。


矢野由布子

矢野由布子

https://www.instagram.com/yyyacooo/

アナログゲームブランドYACO PRODUCTS代表。元アパレルデザイナー。
カードゲーム「ひらがなセンテンス」「らくがきポートレイト」を制作。
またプレイイベントチーム「アソビアソート」への参加や、
女性ゲーム作家を集めた「plaaaay!展」を合同開催するなどアナログゲームにまつわる活動を精力的に行う。
好きなアーティストの影響を受けてドット絵を描き始め、
幾何学模様と人物を融合させたスタイルで作品制作を行っている


やんこま

やんこま

https://twitter.com/y_com

アニメーション、実写など映像作品を中心に制作。
2011年 「エンターブレイン」小林銅蟲×やんこま(mograg garage)
2015年「女子美ヴィジュアルデザイン専攻助手グループ展」(世田谷ものづくり学校)他

『ピクセルアウト』 | 2016.02.25–03.08

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日程:2016年2月25日(木)~3月8日(火)
12:00 – 19:00 ※水曜定休
会場:pixiv Zingaro
入場:無料
運営:Kaikai Kiki
協力:pixiv