百化展2011.11.25 – 12.05

2011.12.01 開催レポートを追加しました。

プロフィール

百化(ひゃっか)

イラスト集を中心に漫画、評論、PVアニメーションを作っているインターネット発のイラストレーベル。同人誌即売会を中心に活動中。

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※UST配信のお知らせ

配信タイトル「ネット絵描きinアートギャラリー」
参加者:虎硬、NaBaBa、otorih
時間:12月3日(土)17:00〜19:00(on air 16:30)
配信チャンネル http://www.ustream.tv/channel/toraco


メッセージ

はじめまして。百化(ひゃっか)の代表をしております虎硬(とらこ)という者です。百化は2008年に合同イラスト同人誌を制作することを目的とし、インターネットを通して作家を募ったレーベルです。イラスト集をはじめ、漫画、評論、PVアニメーションなど多岐のジャンルに渡り制作を行ってきました。

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百化について説明する前にインターネットのイラストシーンの解説を、非常に簡単ではありますが、書いていきたいと思います。現在はpixivなどのSNSは盛んになり「一つの場所に行けば色んな作品を見るとこが出来る」ということが当たり前になっておりますが、2007年までは違いました。
それまでのインターネットは個人のイラストサイトやお絵かき掲示板というweb上のCGIツールで絵を描いて交流することが一般的でした。お絵かき掲示板はツールの種類により『しぃ』や『poo』など名称がついており、公共性の高い総合サイトや個人で運営されているものまで様々でした。私もご多分に漏れず2003年頃から自身のサイトを運営し、お絵かき掲示板での交流を行っておりました。他人のイラストサイトのキャラクター、所謂「看板娘」を描いたり、もしくは自分の看板娘を描いてもらったりと単なるテキストでのコミュニケーションから一歩踏み込んだ、交流を行ってました。
そんなお絵かき掲示板は今のSNSと違い、特定の人のみが交流する『固有のコミュニティができやすい性質』を持ってました。この『村』のようなコミュニティは時間とともに発展、洗練し、個人運営のものでもズバ抜けて高いクォリティを持つものも誕生し、いつしかそれは「黄金期」と呼ばれるようになりました。いくつもの伝説と言われた掲示板や深夜のチャットでの「祭」や、そこに覆面飛び入りする超有名作家。ふとした拍子に生まれ、いつの間にか定着した謎の名言やキャラクター。。。そんななんでもない馴れ合いから超弩級の技術を持ち今日の名作を世に送るスター選手のような作家が多数誕生しました。一方でメジャーなタイトルなどには関わらないものの独自の世界感で価値を作っていたいわゆるアンダーグラウンドな鬼才も多く生まれたのです。当時高校生だった私はそれらに魅了され、笑い、時には救われました。そして拙いながらもがむしゃらに絵を描き続けていました。

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そんな中、2007年9月にpixivが誕生しました。新しいお絵かきSNSの誕生ということでお絵かき掲示板の常連もいち早くこの流れに食いつきました。今でも2007~2008年頃のpixiv過去ランキングを見ればお絵かき掲示板からの作家を多く見つけることができます。当時のpixivは今ほど人も多くなく、ランキングはオリジナル作品中心でした。

pixivの会員数が増大する中、今まで巡回していたイラストサイトやお絵かき掲示板では見つけることの出来なかった新たな魅力的な作家が多数出現しました。それまで小さなコミュニティで交流してきた作家が巨大SNSという大海に飛び込み、かつて無いような超コミュニティが誕生したのです。厚塗りからアニメ塗りまで、風景画からエロまで、アート、耽美、百合、ホモ、ショタ、グロ、メカ
、、、それらが一堂に会す今まで関わったことのないような人たちが同じ土俵に降り立ちました。新たなメディアの誕生に当時から今日まで様々な賛否両論、騒動が繰り広げられています。逆に言えばイラスト界隈でここまで話題に上がったサイトは恐らく初めてでしょう。

百化はそんなイラストSNS過渡期の2008年に誕生しました。当時は同人誌ブームのような流れがあり、特に意識はしていなかったのですが私も百化初の同人誌である『祭』を企画しておりました。百化の初期メンバーはかつて私がイラストサイトやお絵かき掲示板などで知っていた作家が中心でした。それまではほとんど交流がなかったのですがこれを機に、と声をかけました。かつて憧れたイラストサイト「黄金期」のような伝説的な作品を世に送りたい、そしてどこかで礼讃すべき先人達に自分達の絵を見て欲しいという思いもありました。
2009年にイラスト集『祭』がリリース。そして2010年イラスト集『戦』、2011年イラスト集『音』、、、作品のリリースを繰り返す内に自分達よりも若い世代、もとい最近インターネットのイラストサイトに触れた方との交流も増えてきました。作曲家、映像作家、小説家、編集、プログラマー、、、お絵かき掲示板という狭い村落から出てきた私達はいつの間にか「絵師」と呼ばれ、多くの分野の方と関わっていたのです。

イラスト表現は今日も絶えず日進月歩を繰り返し研鑽と錬磨を続けております。
アナログからデジタルへ手法が変わっても描きたい欲求は幾千年前よりも同じなのかもしれません。
かつての私が見た創作のようにこの展示が誰かにとっての「案とヒント」になればこれほど嬉しいことはありません。

2011.10.26
虎硬

 

参加作家様


虎硬 toraco

百化代表。「百化展」メインヴィジュアル担当。カラフルな色彩と生体パーツなどのモチーフを使ったグラフィカルな構成を基調とする。イラスト、デザインの他、漫画、ライブペイント、トークイベントなど節操なく活動する。2010年菊地信義賞受賞(講談社Birth)。主な制作ツールはPhotoshop、illustrator。代表作『ヤヌス/うえむらちか 表紙(講談社)』『骨、家へかえる/三角みづ紀 表紙(講談社)』『Quarterly pixiv vol.05イラストメイキング(エンターブレイン)』

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shirakaba

重厚な厚塗りと緻密な背景に定評がある。サブカルからエロまで幅広い作風で活動する。元はがき職人。2010年『初音家の食卓』はニコニコ動画に「描いてみた」としてアップされ大きな反響を呼んだ(カテゴリランキング1位獲得/2011年10月24日現在:マイリス数4651)。主な制作ツールはSAI。代表作『初音ミクカードイラスト/アルテイルネット(GPコアエッジ)』『ミニマリズム進化論(Studio-Kurage)』代表作『部活動!(コミティア94広告イラスト)』

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1047 toshina

アニメ塗りポップな作風とシャープな厚塗りという二つの作風を使い分ける。イラストの他、漫画、デザインも制作する。公の場でテキストをほとんど出さないので謎の多い絵描き。10代の頃に某出版社で漫画賞を受賞、その後デザイナーを経てフリーに。インターネットのイラストサイト黎明期より活動し様々な作家と合同の企画に参加。主な制作ツールはSAI。

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にほへ nihohe

シンプルながらもシュールな世界感と丁寧な画面作りを骨頂とする若きエース。日常の中に潜む異質な風景や少女の刹那性を描く。2010年頃からDTMに凝り出し個人でアルバムを作成。ボーカロイド楽曲もリリースし2011年12月発売のコンピレーションアルバム『GINGA003』にも参加。主な制作ツールはSAI。

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moge

絵本のような暖かいタッチと高い構成力が魅力的な作家。アナログ作品も多くアニメーションも制作する。お絵かきチャットや掲示板ツールでの制作歴でも長く、高いクォリティの作品を作る。主な制作ツールはしぃペインター、アクリルガッシュ、鉛筆

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とりかわ torikawa

厚塗りで少女趣味な作風を持つ技巧派。イラストから漫画まで幅広く器用にこなす。ヒキコモリながらも趣味は映画鑑賞で映画館にも足を運ぶ。主な制作ツールはPainter、Photoshop、ComicStudio。代表作『衣装箪笥登頂記念絵/IllustStudio ステップ バイ ステップ(株式会社セルシス)』『ブンガク絵/イラスト上達マガジン touch メイキング(晋遊舎)』

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ざいん zain

シアン、マゼンタ系の鮮やかな色彩と空間感のある背景、クールな視線の少女が魅力の作家。2011年10月5日OSTER“BIG BAND”projectコラボレーションとなった初の楽曲描き下ろし作品『ゴシップ』を発表。ボーカロイド殿堂入り(10万再生)を果たす。主な制作ツールはSAI。代表作『カローラ初音ミクイラスト(TOYOTA)』『iKILL/渡辺浩弐(星海社)』『Supernova(スーパーノヴァ)6(EXIT TUNES)』

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 manji

シンプルながら質の高い線描、ドローイングに定評がある。日々淡々とドロワーに投稿されるイラストはシンプルなツールで描かれたとは思えないほどのクォリティで多数のフォロワーを抱えている。主な制作ツールはPainter、Photoshop。

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荒川 arakawa

浮遊感のある画面とスラリと伸びたフォルムの女性が蠱惑的な作家。ギター、アンプ、ヴァイオリンなど楽器のモチーフを扱うことが多い。主な制作ツールはSAI。代表作『等身大の自費出版のススメ 表紙(パブリック・ブレイン)』『BOX-Air03 あやしや/いなき トビラ絵(講談社BOX-Air)』『季刊エス四月号 イラスト(飛鳥新社)』

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川洋 kawayoo

アメコミのようなポップなデフォルメ、変幻にまげられた背景など多くの技法を生み出した。イラスト界の厚塗り革命児。彼の存在なくして近10年のデジタルイラストは語れない。ニコニコ動画に投稿された「描いてみた」動画内のBGMでも自作のものを使用し、視聴者から高い評価を受けている。代表作『海外版ポケモンカード HS-Undaunted パッケージイラスト(株式会社ポケモン)』『村田蓮爾責任編集 robotvol.8(ワニマガジン)』

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ギバ=リャン giba-ryan

浮き世離れした世界観、だいたいなにかしら浮かんでいる、暗めの画面の中に映えるキラリとした色彩が特徴。イラストなのにどこか絵画的でありシュールレアリズムを思わせる。イラストの他、漫画も定期的に発表し反響を得ている。主な制作ツールはSAI、Photoshop Elements。

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STAG

クラブ、DJをモチーフにしたイラストや魚眼レンズでのぞいたような丸く歪んだ構図を得意とする。アナログ絵も堪能で短時間で大きな作品の制作も行う。イラストの他、漫画も高い技術があり、定期的に刊行される『ジオラマ』では錚々たる漫画家メンバーの中に名前を並べる。職業柄か、音楽、コミック、雑誌などの知識量が凄まじい。絵描きには珍しいアウトドア。主な制作ツールはPhotoshop Elements。

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NaBaBa

長時間にわたる細密な絵画から短時間のドローイングまでハイテンションに制作する。アーティスト会田誠の元アシスタントでもあり、非常に高い描画力を持っている。大学では油絵を専攻し最近でも展示では大きな作品を展示している。今や本業となってしまったが趣味はゲームでサイトの洋ゲーレビューには定評がある。代表作『日本画ZERO/グループ展(Hidari Zingaro)』『SNOW MIKU for SAPPORO2011/グループ展(pixiv×Kaikai Kiki Gallery)』

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NC帝國 NCteikoku

Nasos、かっか、ηの3名から構成されるデザインユニット。イラスト、デザインの他、VJや立体作品なども制作する。他企画とのコラボも積極的に行っており、百化ではイラスト集『音』のロゴデザイン、奥付のアートワークとして参加。メンバーのかっかはアートパフォーマンスユニット「コバルト爆弾」の一員としても活動する。2009年発表のペーパートイ「グラフィグ」は大きく展開され「初音ミク」「タイガー&バニー」「日常」など様々なキャラクターとコラボレートしている。「アイデア 348号(誠文堂新光社)」にてインタビュー、アートワークが掲載。代表作『グラフィコ(NC帝國)』『グラフィグ デザイン(COSPA)』『国際パーティー開催プロジェクト/秋葉東京 ロゴデザイン』『UTAUソフト 春歌ナナ ロゴデザイン』

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デザイン

大楠孝太朗 okusu kotaro

『百化展』ロゴ、フライヤーデザインアートワーク担当
1984年福岡県生まれ。アートディレクター・グラフィック作家。媒体を問わずビジュアル制作を行っている。ビジュアル・ネットレーベル「Recode」クリエイティブディレクター。デザインレーベルcooked.jpに参加。

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百化編集部

幸陽サチ sachihi sachi

デザイン編集、校正、システム設計、その他雑務担当。十万石饅頭よりちんすこうの方が好き。『音-oto- 動画アシスタント(百化)』『センタ プル デザイン、ロゴ(百化)』

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カトウタイキ kato taiki

デザイン編集、その他雑務担当。個人ではィ変換イPとしてボーカロイド楽曲を制作しイベント「THE VOC@LOiD M@STER」などに参加。2011年自身初のアルバム『サイコロ理論』をリリース。1992年 静岡出身。

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NUL nuru

スケジュール管理、連絡、データ管理、その他雑務担当。2009年頃からUSTを通して百化メンバーと交流があったが、2011年に正式に編集部へ参加。

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佐藤蛙 sato kaeru

デザイン担当。個人でも作品展示など作家活動を展開する。「DesignFesta 34」にて合同出展(マスダユタカ・益田由二)+佐藤蛙

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「百化展」
日程:2011年11月25日(金)〜 12月5日(月)※水曜定休日
会場:pixiv Zingaro
入場料:無料
企画:百化
協力:pixiv
運営:Kaikai Kiki